ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

MOTコレクション第3期 いまーかつて 複数のパースペクティブ/東京都現代美術館

 上野の美術館群に言語化し難い苦手意識を持っている私にとって、江東区の東京都現代美術館は落ち着いて過ごせるアートスペースのひとつである。もちろん上野にも上野の美術館にも罪は無い。悪いのは勝手な思い込みを持つ私だ。
 集合展「仮の声、新しい影」を見たついでに、といっては失礼だけれど、常設展のMOTコレクションへ。ホンマタカシの写真、オノ・ヨーコのインストラクション、草間彌生のペインティングなどなど、高名なアーティストたちの創造物がこれでもかと並べられており、満腹感が凄まじい。
 中でも印象に残ったのは、藤田嗣治の「千人針」(周辺の戦争画も気になったものが多々あったがメモを忘れてしまった……大失敗)。戦争をリアリズムで捉えありのままを描く絵、見たことがなかったから無いものと思い込んでいた。戦争は在ったのだから、絵画だって在るに決まっている。当たり前のことだけれど、そんなことを考えた。(400字)