ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

カンボジア若手短編集

東京国際映画祭にて。ホームレスの親子を撮った『ABCなんて知らない』、クメール・ルージュ時代に強制結婚させられた夫婦を描いた『三輪』、農村と近親相姦がテーマの『赤インク』、金に翻弄される女性の実験作品『20ドル』の計四本立て。 明らかに自分はカ…

スヴェタ

東京国際映画祭にて。カザフスタンの女性監督の作品。聴覚障害者の子持ち女性スヴェタが職場を解雇されて住居を追い出されそうになったため、殺人を犯して金を手に入れて、生き延びていくお話。 しんどい。吃驚するぐらいしんどい。まず手話で会話が進行する…

Ank: a mirroring ape

SFやファンタジーといった作品を強烈に定義するのは単語だ、神は細部に宿る。だから「京都暴動(キョウト・ライオット)」という言葉を創造した時点で、この作品は勝利している。京都という語と暴動という語の取り合わせの悪さ、ゾクゾクする違和感、素晴ら…

新版 女興行師 吉本せい

手に取った直接のきっかけは2017年10月現在放映中の『わろてんか』だが、吉本せいについてはずっと気になっていた。だからこの一代記、ようやく読めて良かった。 ヨシモトと言えば吉本新喜劇である関西出身の自分にとっては、その吉本が第二文藝館という場末…

日の名残り

カズオ・イシグロさん、ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。 その流れで本作を鑑賞しました。 ……明るい映画では無い。むしろ暗い。そして辛い。歴史映画とも言えるが、まあ失恋映画というのが正しい。とある英国貴族が世界大戦の戦間期に迎えた苦難、…

異人たちとの夏

『廃市』と並んで観たいと思っていた大林宣彦監督作品をようやく。40代の主人公(風間杜夫)が10代のときに死別した30代の父母(片岡鶴太郎と秋吉久美子)と再会するという、ノスタルジックさとファンタジー感溢れる一本。……と、それは良いのです、孤独な男…

Fate/stay night Heaven’s Feel Ⅰ. presage flower

結局、Fate本篇のゲームは一度もプレイせず、全てアニメで楽しんできた。惜しいことをしたな、とも思う。Wikiを見ると「初版」の発売は2004年。2017年現在から溯ると13年前。ディーン版のUBWは2006年でufotable版のUBWは2014年と2015年、それぞれ公開されて…

君の膵臓が食べたい

こういう小説がベストセラーになる世界で、本当に良かった。元気が出る。 難病御涙頂戴系の小説、ではない。まあそんな小説のジャンルがあるのかどうか、知らんけれども。とある男の子が、自分と他人と向き合って生きていくお話。恋愛小説ですら(きっと)な…

怒り

原作を読了して約半年後の鑑賞、とてつもない完成度での無駄のない映像化だった。 原作でも映画でも、好きだったのは渡辺謙と宮崎あおいの親子。房総南部の鄙びた漁港に暮らすふたりは、何故だか強く印象に残った(そこに池脇千鶴が入ってくるのも憎いキャス…

カサブランカ

第二次世界大戦下、モロッコ。ナチスから逃れてアメリカへ渡ろうとする人たちの物語。タイトルと有名な劇中のセリフだけは聞いたことがあったが、完全に初見。お芝居、セリフ、全てがとても時代がかっている。それをわざとらしく不自然に感じる……のはきっと…