ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

ケルナグール1989/アトミック・ブロンド

 近接戦闘が鬼強のセロンさまによるステゴロエンターテインメント……! とはいえ、いわゆるスーパーパワー系のヒーロー無双ではなくて、ガンアクションも要点のみで、ひたすらリアルさ(あくまで、っぽさだとは思いますが)重視の、殴る蹴る怒突き回す叩きのめす、流血バシャバシャで青タンどんとこいのファイトは、ほんと圧巻でした。
 作品の背景になっているのは、一九八九年のベルリンの壁崩壊と冷戦の幕引き。だからスマホはおろかインターネットすらなく、盗聴も盗撮もアナログなのが良い味出してます。クラブでパブリック・エナミーの「ファイト・ザ・パワー」が流れているのも素敵。そうそう、劇中のテレビニュースで「ベルリンの壁崩壊というビッグニュースの後は、音楽におけるビッグトピック、サンプリング問題!」みたいなのやってまして。あれかな、各国情報をサンプリングするエージェント=ダブルスパイ、の暗喩だったのかな。考えすぎかな。(四〇〇字)

スタッフ
監督/デヴィッド・リーチ
脚本/カート・ジョンスタッド
原作/アンソニー・ジョンストン&サム・ハート「The Coldest City」

キャスト
金髪ステゴロナンバーワン/シャーリーズ・セロン
「俺はベルリンを愛してる!」/ジェームズ・マカヴォイ
詩人かロックスターになりたかった/ソフィア・ブテラ
「スパイグラス」と呼ぶのはどうなの/エディ・マーサン