ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

2017-01-01から1年間の記事一覧

ダイヤモンド・アイランド

東京外大の東南アジア映画特集にて鑑賞。ひとことで内容を言えば「上京物語」だ。カンボジアの首都プノンペン、その再開発地区の建設現場に農村から出てきて働く主人公が、行方不明の兄と再会したり、恋に落ちたりした後で、青春の蹉跌を味わう、そんなお話…

ブレードランナー2049

1980年代生まれのため、前作のリドリー・スコットのブレランに思い入れが無い、すみません。ただブレランに影響を受けたコンテンツには、たくさん親しんできたように思う。攻殻機動隊とか、ロックマンXとか。もし前作に思い入れがあれば、見方はもっと違っ…

HiGH&LOW THE MOVIE3 / FINAL MISSION

昨年からハイローユニバースを楽しませて頂き、ザム1→レッレ→ザム2と、劇場版を心から堪能させて頂いた。いや、今もなお楽しんでいる。だからこそ言いたい、副題の「FINAL」ってなんやったんやと。……まあ仕方がないです、九龍グループがザム3だけで壊滅し…

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

ダン・シモンズの『サマー・オブ・ナイト』という作品がある(惜しむらくは既に絶版)。アメリカの田舎町を襲う怪異、立ち向かう少年少女たち……と、大まかな流れはほぼ一緒。シモンズの同作をこよなく愛する自分にとって、今回の『IT』も同じぐらい愛せる作…

カンボジア若手短編集

東京国際映画祭にて。ホームレスの親子を撮った『ABCなんて知らない』、クメール・ルージュ時代に強制結婚させられた夫婦を描いた『三輪』、農村と近親相姦がテーマの『赤インク』、金に翻弄される女性の実験作品『20ドル』の計四本立て。 明らかに自分はカ…

スヴェタ

東京国際映画祭にて。カザフスタンの女性監督の作品。聴覚障害者の子持ち女性スヴェタが職場を解雇されて住居を追い出されそうになったため、殺人を犯して金を手に入れて、生き延びていくお話。 しんどい。吃驚するぐらいしんどい。まず手話で会話が進行する…

Ank: a mirroring ape

SFやファンタジーといった作品を強烈に定義するのは単語だ、神は細部に宿る。だから「京都暴動(キョウト・ライオット)」という言葉を創造した時点で、この作品は勝利している。京都という語と暴動という語の取り合わせの悪さ、ゾクゾクする違和感、素晴ら…

新版 女興行師 吉本せい

手に取った直接のきっかけは2017年10月現在放映中の『わろてんか』だが、吉本せいについてはずっと気になっていた。だからこの一代記、ようやく読めて良かった。 ヨシモトと言えば吉本新喜劇である関西出身の自分にとっては、その吉本が第二文藝館という場末…

日の名残り

カズオ・イシグロさん、ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。 その流れで本作を鑑賞しました。 ……明るい映画では無い。むしろ暗い。そして辛い。歴史映画とも言えるが、まあ失恋映画というのが正しい。とある英国貴族が世界大戦の戦間期に迎えた苦難、…

異人たちとの夏

『廃市』と並んで観たいと思っていた大林宣彦監督作品をようやく。40代の主人公(風間杜夫)が10代のときに死別した30代の父母(片岡鶴太郎と秋吉久美子)と再会するという、ノスタルジックさとファンタジー感溢れる一本。……と、それは良いのです、孤独な男…

Fate/stay night Heaven’s Feel Ⅰ. presage flower

結局、Fate本篇のゲームは一度もプレイせず、全てアニメで楽しんできた。惜しいことをしたな、とも思う。Wikiを見ると「初版」の発売は2004年。2017年現在から溯ると13年前。ディーン版のUBWは2006年でufotable版のUBWは2014年と2015年、それぞれ公開されて…

君の膵臓が食べたい

こういう小説がベストセラーになる世界で、本当に良かった。元気が出る。 難病御涙頂戴系の小説、ではない。まあそんな小説のジャンルがあるのかどうか、知らんけれども。とある男の子が、自分と他人と向き合って生きていくお話。恋愛小説ですら(きっと)な…

怒り

原作を読了して約半年後の鑑賞、とてつもない完成度での無駄のない映像化だった。 原作でも映画でも、好きだったのは渡辺謙と宮崎あおいの親子。房総南部の鄙びた漁港に暮らすふたりは、何故だか強く印象に残った(そこに池脇千鶴が入ってくるのも憎いキャス…

カサブランカ

第二次世界大戦下、モロッコ。ナチスから逃れてアメリカへ渡ろうとする人たちの物語。タイトルと有名な劇中のセリフだけは聞いたことがあったが、完全に初見。お芝居、セリフ、全てがとても時代がかっている。それをわざとらしく不自然に感じる……のはきっと…

HIGH&LOW THE MOVIE2 END OF SKY

ハイローが在って良かった。ハイローが観れる世界線に生きていて良かった。 2016年秋頃。きっかけは「山王連合会や鬼耶高校はまだヤンキー漫画の延長線として理解できるが、RUDE BOYSみたいな複雑な世界観もったチームまで存在するSWORD地区やばい。ゆえにハ…

ダンケルク

小島秀夫監督の映画評(要約「セリフがほとんどない。ただ逃げるだけの映画。そのシンプルな構成ゆえに素晴らしい」)を読んで、慌てて予約をして公開当日に鑑賞。IMAXで観たが、それに相応しい大作だった。 戦争は怖い。テキストで、映像で、そのことは教え…

おとなのけんか/メアリと魔女の花/宇宙人ポール

『おとなのけんか』は2011年公開、ロマン・ポランスキー監督作品。もとは舞台演劇だったとか。二組の夫婦の「大人の喧嘩」を密室劇で淡々と描く。最初は紳士淑女の上品な応酬だったのが、だんだん過激になっていくのが見所か。個人的にはもっとはっちゃけて…

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

鑑賞前から酷評が聞こえていたが、甘く考えていた。DAOKOと米津玄師のテーマ曲は良かったし、予告篇は内容を期待させる出来映えだったから。 本作は岩井俊二による1995年公開映画を、シャフト制作のアニメとしてリメイクしたもの。転校していく少女と見送る…

ティファニーで朝食を

ハッピーエンドにならなければ良いのに、後半になって少し、そう願ってしまった。ハッピーエンドになってしまうと、都会で生きる孤独な男女が結ばれる、ありふれた物語になってしまうから。 ……などという個人的な見解がどうあれ、この作品は1960年代の華やか…

Re:CREATORS 5〜12話

1クールの後半相当を視聴。キャラ特性による死亡フラグというのはあるのだろうか。魔法少女まみかは「これ死ぬな」と暗い予想をしていたら本当に落命した。流血の表現が衝撃的。創作物の主人公たちも、現界した以上は、現界した先の物理法則に従うことになる…

おんな城主直虎 第三十回「潰されざる者」

今川が本気を出せばすぐにでも井伊を取り潰すことができるという、シンプルで残酷な現実。それが改めて明らかになった放送回。どうしても今川家っていうのは、桶狭間で負けた家という印象が強いので、色々言い掛かりをつけてきていても、実は大したことない…

Re:CREATORS 1〜4話

逆転生ファンタジーというか、逆召喚ファンタジーというか。創作世界の住人達が、創作者本人がいる世界=現代世界に現界することで起きる事件、騒動、トラブルが、4話までは描かれている。 監督は『Fate/Zero』『アルドノア・ゼロ』のあおきえい。原作が『…

タイタンの妖女

登場人物の誰もが救われない、辛く寂しい物語として読んだ。いや、読んでしまったというべきか。 本作には直線的に進むと考えられている時間軸の、どこにでも存在することができる男と犬と、その男に人生を翻弄される男と女が描かれる。三者三様に、救いがな…