ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

 鑑賞前から酷評が聞こえていたが、甘く考えていた。DAOKOと米津玄師のテーマ曲は良かったし、予告篇は内容を期待させる出来映えだったから。
 本作は岩井俊二による1995年公開映画を、シャフト制作のアニメとしてリメイクしたもの。転校していく少女と見送る少年の、ひと夏のある日のお話。シャフトのアニメーションは好きだ。『まどマギ』も『化物語』も好きだ。瞳のドアップや極端な煽りなど工夫を凝らした演出と美しい作画が大好きだ。だからこそ言いたい。この作品では、シャフトの本領が発揮されていない、と。
 ではなぜ、面白くなかったのか。それはひとえに、ヒロインなずなの描き方の雑さに起因しているように思う。彼女はきちんと描かれておらず、情報不足過ぎて、ひとえに「?」の存在だった。その「?」に終劇までつきまとわれ振り払うことができなかったというのが、感想というか述懐である。これは……酷評されてもやむなし。合掌。(四〇〇)