ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

 ダン・シモンズの『サマー・オブ・ナイト』という作品がある(惜しむらくは既に絶版)。アメリカの田舎町を襲う怪異、立ち向かう少年少女たち……と、大まかな流れはほぼ一緒。シモンズの同作をこよなく愛する自分にとって、今回の『IT』も同じぐらい愛せる作品だった!
 まずモンスターvsボーイズ&ガールズというプロットが黄金すぎる。御飯を何杯でも食べられる。しかもその主人公たちが「ルーザーズ・クラブ」と自称するぐらい、最初はカッコ悪いいじめられっ子たちなのだから、余計に彼ら彼女らの成長のドラマが映える。男子5人に女子1人というメンバー構成も尊い。そのヒロイン、べバリー(ソフィア・リリス)は洋の東西を問わない男子諸兄の妄想の具現なのではと思えるぐらいキュートだ。
 原作では50年代末の話が、今回の映画では88年に。自分もちょうど小学生ぐらいだったので、だからこその強烈な親近感も、あったのかもしれないなあ。(四〇〇)