ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

パラサイト 半地下の家族

 ポン・ジュノ監督作品初見です。NHKでの是枝裕和氏との対談で「自分は社会派の映画監督と呼ばれたくない」と監督は発言されていました。確かに、本作はあくまで(極めて)良質なエンタテインメント映画。かつ、その娯楽性の中で社会が孕む問題を再考せねばならないという、極めて周到なプロットを有しています。社会派、という括りでは雑過ぎます。
 半地下の陋屋に棲む貧困家族が、豪邸に住む富裕層の生活に入り込んでいく……というのがあらすじですが、前半はある種のシチュエーション・コメディとして進行します。しかし後半は、シチュエーション・スリラーとして全てが反転、あるいは暗転。前半のコメディ的な「笑い」が、強いものが弱いものを嗤う階層的なものであることを、後半で喝破してくるという巧みな構成でした。
 観客を笑わせること。更に、何に笑ったのか考えさせること。エンタテインメントの持つしなやか刃に、胸を抉られる思いです。(400字)

[スタッフ&キャスト]
監督 ポン・ジュノ
脚本 ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
主演 キム・ギテク/ソン・ガンホ
パク・ドンイク/イ・ソンギュン
パク・ヨンギョ/チョ・ヨジュン
キム・ギウ/チェ・ウシク
キム・ギジョン/パク・ソダム
キム・チョンソク/チャン・へジン