ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

バーニング

 村上春樹の短編が原作というのが足を運んだきっかけ。しかし当該短篇「納屋を焼く」は未読、村上春樹という言葉にまんまと釣られた形だった。結果、イ・チャンドンという凄まじい監督を知れて良かったのだけれども。
 ストーリーは『グレート・ギャッツビー』で、主題は孤独。というか、孤独そのものを一本の映画にすると、こうもなろうかという作品だった。そして、寂しさを抱えながら生きることで立ち現れる怯えや恐れといった感情の先に見えてくるものが、果たして虚構なのか現実なのかという問いも突きつけられる。
 韓国映画は直球だ。イ・チャンドン作品は正直だ。都市的生活で直面する闇を、どストレートに投げかけてくる。そこには無駄な虚飾が存在しないので、すべてがとても綺麗で鋭い。セックスシーンが生々しいのだけれども下品ではなく、あくまで美しい交尾として描かれているところにも、この監督の繊細な表現力が象徴されているように思う。(四〇〇)(2019年2月22日鑑賞)

 

「バーニング 劇場版」予告編 - YouTube