ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

Re:CREATORS 1〜4話

 逆転生ファンタジーというか、逆召喚ファンタジーというか。創作世界の住人達が、創作者本人がいる世界=現代世界に現界することで起きる事件、騒動、トラブルが、4話までは描かれている。
 監督は『Fate/Zero』『アルドノア・ゼロ』のあおきえい。原作が『ブラックラグーン』の広江礼威。アニメーション制作は、アルドノアをエーワンと共同制作したTROYCA。勝ちに行く布陣だ。
 肝心の内容は……面白い。4話までは一気見。創作世界の住人が現代世界に現れることで、何が起きるのか(=どんな不都合が生じるのか)という「if」が、とても丁寧に描かれている。それはあおき監督がFateやアルノドアで描いていた「現実世界には存在しないものによって蹂躙される現実世界」に、もちろん通じている。かつ、創作世界の住人達が、彼ら彼女ら自身を描いている街頭広告との組み合わせで描かれるオープニングは、本当に素敵だ。ゾクゾクする。(四〇〇)

タイタンの妖女

 登場人物の誰もが救われない、辛く寂しい物語として読んだ。いや、読んでしまったというべきか。
 本作には直線的に進むと考えられている時間軸の、どこにでも存在することができる男と犬と、その男に人生を翻弄される男と女が描かれる。三者三様に、救いがない。
 原書が執筆されたのは1959年。キューバ革命が起き、チベット蜂起が起き、ルナ2号が月に衝突した年だ。そして東京オリンピックの開催が決まった年でもある。戦争終結から14年。日本で言えば戦後復興が進んで世相がどんどん明るくなっていく、希望に満ちた時代だったはず。翻って戦勝国アメリカでは、閉塞や停滞のムードが色濃かった……のか。この作品からは、人間という種族への深い深い絶望や諦観のメッセージしか読み解くことができなかった(人間への憎悪すら感じた)。
 さて、この本を「君にすごく良く合っている」と薦めてくれた元同僚は、一体どういうつもりだったのだろう……。(四〇〇)

【附記】物語の最終盤に出てくるサロという名の機械生命が、よほど作中の他の人間よりも人間臭く描かれている気がする。これも一種の諧謔なのだろうか。

 

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)