ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

日の名残り

 カズオ・イシグロさん、ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。
 その流れで本作を鑑賞しました。
 ……明るい映画では無い。むしろ暗い。そして辛い。歴史映画とも言えるが、まあ失恋映画というのが正しい。とある英国貴族が世界大戦の戦間期に迎えた苦難、そして彼に仕えた執事の半生。および不器用すぎる彼(アンソニー・ホプキンス)の顛末。
 気持ちを素直に表現できないという行為は罪である。罪であるから思わぬ悲劇を生むのだ。……これは言い過ぎだろうか。執事の彼が素直になれずに固執したのは、職業倫理なのか、貴族の従士としての誇りなのか、ないしは英国人男性に特有の何かなのか。いずれにせよ彼は罰を受けるのだが。
 斜陽、斜陽族という言葉があるが、落日を見つめていたのは日本人華族だけではなかった。苦い郷愁感に包まれた作品。作中の人物にどれだけ感情移入できるかは、これまでどんな人生を送ってきたかに拠る気がします。(400字)

 

日の名残り (字幕版)

日の名残り (字幕版)