ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

ダンケルク

 小島秀夫監督の映画評(要約「セリフがほとんどない。ただ逃げるだけの映画。そのシンプルな構成ゆえに素晴らしい」)を読んで、慌てて予約をして公開当日に鑑賞。IMAXで観たが、それに相応しい大作だった。
 戦争は怖い。テキストで、映像で、そのことは教えられてきたつもりだけど、あくまで「つもり」に過ぎなかったんだなあということを、昨年の『この世界の片隅に』に続いて教えられた。やっぱり戦争は怖い、死ぬのは怖い、生きて祖国へ帰りたい。ただ帰りたいのだ。臨場感溢れる銃声や爆撃の音、あるいは戦闘機の飛翔音で、観る側は生命への執着を強く掻き立てられる。
 ……しかし。全く異なる3つの時間軸のドラマが並行して進行していく構成は、難解だった。ゆえに最終的な脱出のカタルシスを感じることができなかった。これは戦争に安易なカタルシスなど存在しないことを示す演出意図なのだろうか、それとも自分の理解力が足りないのか……。(四〇〇)