ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

人の叔父さんを笑うな!/私の叔父さん

 後輩の熱烈な推薦により鑑賞。両親を早くに亡くした28歳のクリスは、自身を引き取って育ててくれた叔父と、デンマーク非都市部で伝統的酪農に従事して生活している。叔父さんは高齢で足も悪くしているため、軽度の介護が必要。そんなふたりの静かな日々を描く作品でした。
 中盤までセリフらしいセリフもなければBGMもないため、まるでドキュメンタリーフィルムのように淡々と進行します(ちなみにクリス役のイェデ・スナゴーと叔父役のペーダ・ハンセン・テューデンは実の姪と叔父の関係)。終盤になっても大きな事件や大きな解決は描かれません。
 では、北欧スローライフ賛美のナチュラル系映画だったのかと言えば、それもたぶん違っていて。きっと、監督さんは「生活」はそれそのものですでに「何か」なので、ありのままを受け入れて見てくれ、ということが言いたかったんじゃないでしょうか。人の叔父さんを笑うな、人の生活を笑うな、ということ。(四〇〇字)

スタッフ
監督・脚本・編集・撮影/フラレ・ピータセン

キャスト
クリス(彼女に一切の非はないが、とはいえ少し思い込みと突っ走りが過剰)/イェデ・スナゴー
叔父さん(ヌテラが好き)/ペーダ・ハンセン・テューデン

【付記】
何の気無しに行ったら、恵比寿ガーデンシネマの休館前最終日でした……。映画館が休館になるのは、さびしいな。はやく再開されますように。