ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

世界観という呪い/花束みたいな恋をした

 映画館に行きたい、行きたいと思えど、なかなか足を運ぶ時間が取れず。結果、五ヶ月弱ぶりになりますが、これはさすがに行ってきました。坂元裕二脚本&土井裕泰監督『花束みたいな恋をした』です。
 1982年生まれ。2001年上京。以来、2021年現在までの20年ほぼ全ての時間を京王線沿線で過ごしました。だからダメなんです、この映画はダメ。だって麦(菅田将暉)や絹(有村架純)のようになりたかったんだから。心底、憧れていたのだから。結果、なれっこなかったけれども。
 とはいえ、2015年のカップルとしてはちょっとオーセンティックすぎるかな、とも感じました。今の20代の人たちの恋愛世界とは、少し違うんじゃないかな。それでも、悔しいことに自分はこの映画の中で描かれた世界観に、今なお囚われ続けているような気がします。深夜の安居酒屋とか、映画の半券のしおりとか、ファミレスのドリンクバーとか、そういうものたちに。(四〇〇字)

[スタッフ]
脚本/坂元裕二
監督/土井裕泰
音楽/大友良英

[キャスト]
山音麦(どのバージョンも超絶イケメン)/菅田将暉
八谷絹(少しずつ諦めていく演技がホント上手い)/有村架純
川岸菜那(静かだけど確かな存在感)/韓英恵
羽田凛(有村架純とほぼ10歳違いなのか)/清原果耶

【付記】
坂元裕二脚本作品ということで『カルテット』的なものを想像していたけれど、むしろ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』だったな。『いつかこの恋〜』の時系列の先に繋がる話というか。同作でも本作でもファミレスが印象的に使われていた所為もあるかも。ファミレスは世界そのものですよ……。