ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

色とりどりのプロパガンダ/『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』

 存命人物のドキュメンタリーを製作するのは、難しいことだと思う。なぜなら、その人物自身の「直接的/間接的」介入を防ぎようがないから。前知識ゼロでなんとなく観たが、色々考えさせられた。
 ピエール・カルダンという、世界的に有名なファッションデザイナーの軌跡を追った本作。高級注文服(オートクチュール)から既製服(プレタポルテ)への道を開き、現代的なファッション消費を確立。輝かしく偉大な業績。それは分かった。しかし、それ以外のことがまったく分からない。
 ブランドプロパガンダ、あるいは壮大な自慢話。いじわるな見方かもしれないが、そんな印象だったのだ。全体のストーリーが無いこと(エピソードの時系列もバラバラ)に加えて、ランダムに本人インタビューが挿入(=直接的介入)される構成の所為だろう。監督さんは何を思ってこの作品を撮ったのか。ただ「良いこと」だけを切り貼りしても、良いことは伝わらないのではないか。(四〇〇字)