ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

抜かりなきコメディセンス/『EXIT』

 Netflixの韓国ドラマ『愛の不時着』や『梨泰院クラス』にドハマリしてしまっている所為で、映画も韓国のものをもっと観たいなという気持ちが止まず、本作をセレクト。「映画を観たなあ!」というのが一番の感想。ストーリーは、毒ガステロが起きたソウルの街中を生還目指して逃げまくるというもので、基本的にはよくある「パニック映画」です。ぐっと考えさせられるような深みなどはない。
 けれども。主人公(筋肉バカ)もヒロイン(真面目バカ)も周囲のサブキャラ(怒るアボジと歌うオモニ)も、どっかダサくてどっか抜けててめちゃくちゃ人間くさくて、それが作品全体の愛嬌になっているところが、すごく魅力的だと感じます。出てくるみなさん、割とすぐ後悔するし、絶望するし、わんわん泣くし。シリアス一辺倒ではなく、かといってふざけ倒すわけでもなくて、要所要所にきっちりコメディを仕掛けてくるセンスが素敵。まだまだ観たいぞ韓国映画。(四〇〇字)

 

[スタッフ]
監督&脚本/イ・サングン

[キャスト]
ヨンナム(進撃の鉄棒男)/チョ・ジョンソク
ウィジュ(空飛ぶ副店長)/イム・ユナ(少女時代)
ヨンナムのオモニ(ドラマが好きではない母)/コ・ドゥシム
ヨンナムのアボジ(ドラマが好きな父)/パク・インファン