ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

自分がドラマに求めるもの②/いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう

自分がドラマに求めるもの①/いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう - ヨンマルマル
 恋愛劇の中の生活にリアリティを持たせるために、キャストの演技力は必要不可欠なものだが、本作の出演陣は……全員良かった。全員好きです。強さとひたむきさを同居させる主演の有村架純、実直さを貫き通すもうひとりの主演の高良健吾、前半の仮面性と後半の爛漫さのギャップを魅せる高畑充希、闇を抱え続ける坂口健太郎、同じ闇を共有するかのような森川葵、そしてちゃんと演技見るのは初めてだったけれど、悪そうに見えるめっちゃいい人という難しい役をこなしきった西島隆弘。正直、全員が主役級なので場面場面の緊張感が高く、どこを切り取ってもちゃんとしている。なかなかこんな贅沢なドラマも無いよなと、最終回までそれぞれの演技をじっくり堪能できた。
 ラストはハッピーエンドだったというのが、個人的な感想です。なぜなら、未来が示されたから。かつ、何度でも何度でもどこからでも、やり直せば良いというメッセージも、同時に受け取りました。(400字)

【付記】震災が発生した2011年前後から物語が始まり、物語中盤で5年間時間を飛ばして、後半は2015年が舞台になるという2部構成。かつ「その後、彼に会うことはなかった」という台詞を繰り返し印象的に使う脚本。また、有村架純が高良健吾を引越屋さんと呼び続けること。通勤経路でバスを選択するか電車を選択するかが、その時々の想いの表現になっていること。などなど、小さな点を挙げていくとキリがないぐらいに、細かな演出や工夫が光る作品だった。最終回で有村架純が第1回と同じコートを着ているところも、味わい深い。

【付記の付記】高畑充希演じる木穂子の(たしか2話か?)「練にまで見捨てられたら、わたし、死んでしまう」は屈指の名台詞。

[スタッフ&キャスト]
脚本/坂元裕二
演出/並木道子、石井祐介、高野舞

杉原音/有村架純
曽田練/高良健吾
日向木穂子/高畑充希
市村小夏/森川葵
中條晴太/坂口健太郎
井吹朝陽/西島隆弘