ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

自分がドラマに求めるもの①/いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう

 自分がドラマに求めるものは、なんだろう。……などと益体もないことを考えたときの答えのひとつが、本作『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』である。というか観終わって結論がそうなった。
 東京を舞台にした20代男女の恋愛群像である。そんな作品は履いて捨てるほどたくさんあるが、生活の苦しさやしんどさ(踏み込んで貧困そのもの)を丁寧に掬い取っているところが、本作の白眉と言える。そして、恋愛劇の華やかさと生活劇のリアリティが絶妙なバランスで同居している作品こそ、私が求めるテレビドラマなのだ。
 美しいもの、煌びやかなもの、憧れを抱くもの。もちろん大事であるけれど、キラキラしたものだけではドラマにならない。かつまた、キラキラしたものだけでキラキラしたものを真に描くことはできない。醜いもの、地味なもの、蔑まれるものがあってこそ、ドラマは成立する。恋愛の背後に生活が密に存在することは、重要なのだ。(自分がドラマに求めるもの②/いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう - ヨンマルマル)(400字)