ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

ドンソクさんに恋をして/新感染 ファイナル・エクスプレス

 高速鉄道の車中でゾンビものを2時間って、お話がもつのだろうか……という心配は完全に杞憂で。マ・ドンソクに見とれていたら、あっという間でした。ドンソクさん、なんちゅうカッコいいんじゃ……!
 ゾンビからのサバイバルという主題どおりの内容ですが、全体的にややハードモードか。動的なシーンの迫力はもちろん、静的なシーン、特に主人公の娘・スアン周辺の画作りの美しさが印象的でした。決定的な場面で、カメラが引きになったり、シルエット撮影になったりするのも好き。総じて、端整な映画だったと思う。
 で、ドンソクさんですよ。ゾンビをステゴロで吹っ飛ばす人、はじめて見たかも……。フィジカルの強さだけじゃなく、メンタルというか生きる心構えの強さも示して、主人公を感化していく様は素晴らしすぎます。なにより、強面なのにめちゃくちゃ優しい。あ、主人公のコン・ユもドンソクさんのおかげで、途中から飛躍的にカッコよくなります。(四〇〇字)

スタッフ
監督/ヨン・サンホ
脚本/パク・ジュスク

キャスト
ゾンビをパンチでやっつけるカッコいいおじさん/マ・ドンソク
主人公ファンドマネージャー/コン・ユ
主人公の娘、歌がうたいたい/キム・スアン
ドンソクの妻で妊婦、あなたは偉い/チャン・ユミ
野球少年、よくがんばった/チェ・ウシク
人間の優しさと温かみを大事にする、野球部の応援少女/アン・ソヒ
人間のクズ/キム・ウィソン

おバカな二人、翔ぶが如く/21ジャンプストリート

 ハイスクールでは別々のカーストだった二人が、ポリスアカデミーで再会して親友に。その後、よりにもよって麻薬売買が横行しているハイスクールへの潜入捜査を命じられる(この潜入捜査専門の所轄署的なものの名前が「21ジャンプストリート」)。しかし、今度は現役高校生時代と真逆のカーストに所属することになって……。という、完璧なプロット。オシャレでダサくて、下ネタ満載(やや使い過ぎ)で、きっちりアクションもやれば人死も出る、ポンコツ警官モノの、ド王道でした。
 ナード(ジョナ・ヒル)とマッチョ(チャニング・テイタム)のバランスが良いんだよな……。それぞれ、底抜けのバカなんだけど憎めず、気がつけば応援してしまう。アメリカ映画における「おバカなふたり」の物語って、やっぱり最強だなあ。『ブックスマート』を観たばかりだってのもあるけど。そうそう、アイス・キューブの役(上司の警部)は色々と美味しすぎると思います。(四〇〇字)

スタッフ
監督/フィル・ロード&クリストファー・ミラー
脚本/マイケル・バコール

キャスト
ナードの方(結局は役得してた気がします)/ジョナ・ヒル
マッチョの方(最後まで本当に良い奴、身体張るし)/チャニング・テイタム
ディクソン警部(怒れる教会の男)/アイス・キューブ

【追記】
1980年代の終わりに同名タイトルのテレビドラマシリーズがあり、ジョニー・デップの出世作だったことを、あとから調べて知りました。デップさん、後半にカメオ出演してます。

きらきら光る、すべての星よ/ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

 劇場公開時、20代の後輩たちがビビッドに反応していた本作。Netflixでようやく観れた。ハイスクールをクソ真面目(Booksmart)に過ごした女子ふたり、卒業式前夜のはっちゃけを描く青春グラフィティ。全編、徹頭徹尾「青春」そのもの。
 クソダサい部分、格好つけたいけどつけきれずに空回っている部分と、でもやっぱり超クールな部分が同時に存在していて(主人公のモリーとエイミーの行動はほぼすべて)、それこそが青春の光なんだよなあって、しみじみ……。自分に自信が持てず、自虐に走るモリーにエイミーが「私の親友にひどいこと言わないで!」というシーンがすごく好きです。あと、パーティーに行きたいんだけど行くのめっちゃビビる、という葛藤と逡巡もリアル。
 この映画みたいに、たくさんの在り方をただ受け入れて楽しむ、ってことが大人たちもできれば、きっともっとハッピーでピースフルな世界がやってくるんじゃないかな。(四〇〇字)

スタッフ
監督/オリヴィア・ワイルド
脚本/エミリー・ハルバーン、サラ・ハスキンス、スザンナ・フォーゲル、ケイティ・シルバーマン

キャスト
モリー(会長、スピーチ最高でした)/ビーニー・フェルドスタイン
エイミー(パンダも可愛がってあげて)/ケイトリン・ディーヴァー
ジジ(性格と面倒見の良いジャンキー)/ビリー・ロード
ジョージ(割と好きなタイプのメガネ、歌が上手)/ノア・ガルヴィン