ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

ネオ・ノワールへの耽美②/バビロン・ベルリン シーズン1

ネオ・ノワールへの耽美①/バビロン・ベルリン シーズン1 - ヨンマルマル
 映画でもドラマでも、ドイツを舞台にした作品を観る機会は少なくて。ましてやドイツ製作で全篇がドイツ語というドラマは、たぶん初めてだったので、新鮮な視聴体験になった。パリともロンドンともニューヨークとも違う、魔都・ベルリン。退廃の方向性は創作物の中で描かれる上海に近い雰囲気もあるけれど、ベルリンは上海的な意味での多民族都市(乱暴な言い方をすると東西混淆)とは異なるので、一緒くたにはできない。ナイトクラブの繁栄、対照的な貧困、第一次大戦の傷痕、そしてスターリン体制に移行したソ連が落とす影。それらの混合物は独自のにおいを放つ。ナチ党は存在するが、選挙で躍進していくのは少し先の未来。ラート警部をはじめとした主人公たちは己が抱える闇と苦闘しながらも、退廃と踊りながら、より濃い闇と対峙していく……。
 暗いというより黒いロマンに溢れる、ネオ・ノワールの世界はとても蠱惑的だった。シーズン2、はやく観たい。(400字)

[スタッフ&キャスト]
原作 Volker Kutscher Babylon Berlin
製作&脚本&監督 トム・ティクヴァ(『ラン・ローラ・ラン』監督)
Achim von Borries, Henk Handloegten

ゲレオン・ラルフ警部(ヤク中イケメン刑事)/Volker Bruch
シャルロッテ・リッター(刑事志望のフラッパー)/Liv Lisa Fries
ヴォルター上級警部(ワルそうな良い人警部)/Peter Kurth
スヴェルターナ・ソローキナ(ロシアより愛をこめて)/Severijia Janusauskaite
アレクセイ・カルダコフ(散々な目に遭う革命家)/Ivan Shvedoff