ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

カミーユ・アンロ『蛇を踏む』

 東京オペラシティアートギャラリーで催されている、カミーユ・アンロの『蛇を踏む』へ。タイトルは川上弘美の同名作より。古今東西の小説を生け花に仕立てる〈革命家でありながら花を愛することは可能か〉(マルセル・リーブマンによるレーニン伝の一節より、と展示資料にあり)のパンチが鋭かった。
 表現A(テキストによる小説)を表現B(生け花による現代アート)に変換するとき、鑑賞する側に生まれる表現Cに関して、否応なく向き合わさせられる。小説が生け花になっていることは「あ、面白い!」と感覚的かつ瞬間的に消費できるが、しばらく経つと「それってどういうことだっけ?」という疑問あるいは問題提起が残る。表現A=表現Bなのか、表現A<表現Bなのか、などなど。コンラッド『闇の奥』が迷彩服と野草で生けられているのは分かりやすいのだけど、それはそれで良いんだっけ、みたいな。この考えることが表現Cであり、主題なのかと感じた。(400字)(2019年12月1日鑑賞)