ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

ペパーミント・キャンディー

 イ・チャンドン監督の『バーニング』がヒットのため、過去作である『ペパーミント・キャンディー』と『オアシス』がアップリンク渋谷でリバイバル上映。『バーニング』ですっかりハートを持っていかれたため、取り急ぎ鑑賞した。
 本作は人生にドン詰まった男(キム・ヨンホ)が、なぜそうなったのかを逆回転の時系列で解き明かしていく構成。1999年から1979年までの期間を7つのエピソードに分け、順番に遡っていく。(桜庭一樹『私の男』もそんな構成でした)
 ではこの哀れな主人公に観客が同情していく話なのかと思いきや、少し違う。ヨンホの破滅は時代や社会の所為もあるけれど、彼自身の身勝手さによる部分も大きいから。むしろ観る側は同期する。ヨンホは我々自身の似姿であることを強く認識する。だから苦しくなる、ヨンホの地獄を自分のものと捉えはじめて、本気でしんどくなってくる。良い意味で。まるで拷問のような映画。良い意味で。(四〇〇)(2019年3月16日鑑賞)

 

韓国映画 [ペパーミントキャンディ] 予告版 - YouTube