ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

2018年12月から2019年2月までの映画100字短評まとめ

 このヨンマルマルは、映画&小説&演劇の感想を400字でまとめてログしていこうという試みなのですが、昨年後半から仕事関係のバタバタが続いていて、まともに書けていないものが溜まってしまっておりまして……。いつまで経っても清書ができそうになく……いたしかたがないので、Filmarksにメモしていた感想を列記することにします。ちなみにFilmarksの感想メモは、100字縛りで書いています

『来る』2018年12月9日鑑賞
伊集院光深夜の馬鹿力」において、本作は「ホラー映画のシン・ゴジラ」との評あり。後半、その通りの展開に。とにかく、とにかく! 老霊媒師の柴田理恵がめっちゃくちゃカッコいい。最後の最期のワンシーンまで。
【補足】複数ジャンルの霊媒師、拝み屋、祈禱師などなどの方々が総力を結集して退魔行にあたる、終盤のシーンは圧巻。そこが『シン・ゴジラ」と評された理由でもあるとのこと(と、後日ラジオで聴きました)。怖がらせる「ホラー映画」でありつつ、エンタメ要素も強かったという印象。こういう方向性の作品、もっと増えても良いのではと思うけれど……。

ボヘミアン・ラプソディ』2018年12月9日鑑賞
劇中で「ボヘミアン・ラプソディー」の尺が長いからシングルカットしない、と宣った偉い人が「俺はジミヘンだって知ってるんだ!」と吐き捨てた。ジミヘン没は70年で、クイーン結成は71年。先見の明の難しさよ。
【補足】クイーンを意識的に聴いたことはなかったけれど、劇中で流れる曲のほとんどを口ずさむことができて……。「これがクイーンの凄さなんだ」と改めて感じ入った作品。栄光からの挫折からの奮起、というプロットは本当に好きなので、ごはん何杯でも食べられる。

『ホイットニー〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜』2019年1月12日鑑賞
ホイットニーの後半生、その転落を何も知らなかった。90年代にあれだけ聴いた歌声を21世紀になってあまり耳にしなくなっていたこと、疑問におもっていなかった。神様に愛されることと人生の幸福は、同義ではない。
【補足】ホイットニーが生きた時代は、すでに家庭用ビデオカメラが普及していた時代なので、作中ではホームビデオをはじめ、ふんだんに映像記録が使用されている。そこにはホイットニーの生きた姿が克明に残されている。たとえばジャネット・ジャクソンを痛烈にディスっている映像なんかも使われている。だから、彼女が「闇堕ち」していく様子がありありと映像化されている……とても痛々しい。

『バハールの涙』2019年1月19日鑑賞
ISに家族を奪われ性奴隷とされたクルド人女性、彼女たちだけで結成された戦闘部隊の物語。バハールは部隊長の名前。ISへの警戒を告げる電話の音が深夜に鳴り響き、平和な日常が崩れ去る場面、最も恐ろしかった。
【補足】ムスリム戦士は戦場で女性に殺されると地獄に落ちる、という信仰(?)があるとのこと。本作でもそれはセリフとして描かれ、また映画自体のキャッチコピーにもなっている。だからクルド人女性の兵士たちは自らの銃弾でISの男たちを殺す。悲しい憎しみの連鎖ではあるけれど、綺麗事では片付けられない。

PSYCHO-PASS Sinners of the System Case.1「罪と罰」』2019年1月28日鑑賞
前作劇場版コパスが2014年だから、もう5年も経ったのマジか! シビュラ・システムとの対立ではなくてその先、共立と共存を描いていく姿勢に拍手。霜月が立派になってる。常森がちゃんと出てきて良かった。
【補足】ディストピアとの共存共生は、これからもっと具体的にSF作品のテーマとなっていくのかも。世界はそう簡単には終わらないことが何度も確認されて、平成は終わり、21世紀もやがては折り返しを迎える。「それでも生きていかねばならない」ということは、重要な問いかけ。

『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』2019年2月16日鑑賞
平成が終わる前に、劇場でプロのスイーパーを観られたのは良かった。主題曲は古びなくてかっこいい。あとエンディングの趣向は最高だった!(槙村!)しかし思い出は思い出のままの方が、美しいのかもしれません。
【補足】エンディングの趣向とは、アニメ第1期の6話まで(槙村が死ぬまで)を再現したアニメーションのこと。あればズルかった、泣いた。というかそもそも、GET WILD が流れ始めると人類は抵抗できない。ズルい。ただ……冴羽獠(あるいは海坊主)とドローンが戦うところを、本当に観たかったのかというと……。もっと言えば、無理に現代の話とせずとも、1980年代終わりの新宿をそのまま描くお話でも良かったような。たらればではあるが。

『劇場版 幼女戦記』2019年2月17日鑑賞
戦争映画です。繰り返しますがガチの戦争映画です。英雄はおらず、血と硝煙と砲声と人間が行うあらん限りの愚行が描かれます。こういう作品が「エンタメ」として成立しうる所に、日本のコンテンツの強みがあるかと。
【補足】デグさんとメアリー・スードッグファイトのアニメーションは圧巻。人が空を飛んで撃ち合いをする……というのは全く物理現象としてはフィクションであるにも関わらず、それをリアリティある映像にしてしまえるのが、アニメの何よりの魅力のひとつだと思う。無名兵士たちが丁寧に描かれているのもすごく良かった。そして本作は痛烈な戦争「批判」映画でもある。(決して翼賛映画ではない)