ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

サスペリア

 仕事関係の人から熱烈なプレゼンを受けて急遽鑑賞。有名なホラー映画のリメイクということすら知らず、何の予備知識も無いまま観た所為で「インパクトは強いけれど主題がよく理解できない……」となった。しかし、町山智浩氏の解説動画を観ていろいろ氷解。
 ネタバレを極力回避してテーマを抽出すると「ドイツを舞台に『分断』を描いた政治的映画」と言えるだろうか。1970年代ドイツ・ベルリンの暗黒舞踏団を軸に、そこに現れた天才的な踊り手と、舞踏団に関わる老精神科医を主人公として、物語が紡がれる。分断とは、ユダヤ人とアーリア人の分断であり、東西ドイツの分断であり、戦後ドイツのテロリストたち(ドイツ赤軍)が生んだ分断でもある。暗黒舞踏団の抱える秘密が、ドイツが抱えた(る)分断に対する寓話的構造になっている。この分断は過去の歴史ではなく現代の問題だということに気づいたとき、自然と涙がこぼれた。難解だが臓腑を突く一作。(四〇〇)(2019年2月15日鑑賞)

 

【公式】『サスぺリア』1月25日(金)公開/本予告 - YouTube

【動画・ネタバレあり】町山智浩が映画『サスペリア』を徹底解説!! - YouTube