ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

シェイプ・オブ・ウォーター

 異類婚姻譚。あるいはマイノリティの寓話。想像していたよりストレートでシンプルな物語だった。感動したか? と問われると、答えるのはとても難しい。おそらく自分には「マイノリティが抱える性愛の問題、生活の問題」に対する想像力が圧倒的に足りないのだろう。
 結果的に、作品の主題よりも細部、特に美術へ関心が向かった。まずなんともレトロなイライザのアパート。彼女の隣人ジェイルズが観ているテレビ番組。研究所の内装も良かったな。どれぐらいリアルな1960年代のアメリカだったのかはわからないけれど、色使い、小物のデザイン、光の加減、どれもが非常にお洒落だった。あとは本当にこれも主題ではないけれど、イライザとジェイルズが「どういう関係なのだろう?」と観客に謎掛けをしてくる前半戦の方が、楽しかったような気も。半魚人(?)の彼が何を考えているのか結局分からなかったのが、いまいちのめり込めなかった理由かもしれない。(四〇〇)