ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

沖縄スパイ戦史

 沖縄戦において、徴兵前の就学児童が兵卒として動員された歴史があった。「護郷隊」と呼ばれたそれは、陸軍中野学校の情報将校によって指揮された。少年兵だ。本作は、かつて護郷隊であった人々の中で、まだご存命である方へインタビューを行ない、そこで得られた貴重な証言をもとに構成されたドキュメンタリー作品である。
 鉄血勤皇隊ひめゆり部隊の悲劇は、知識として知ってはいた。しかし護郷隊のことは全く知らなかった。まず、実際にあった歴史の一端を知ることができ、良かったという言い方が適切がどうかわからないが、良かった。証言をされた方々と、本作を制作された三上智恵さんと大矢英代さん(およびスタッフのみなさん)に、とにかく感謝を申し上げたい。
 戦争ができる、戦争がしたい、戦争をせねば! と考える人は全員、本作を観て欲しい。観終わって、自分自身が小銃を構えてブーツを履き、ジャングルに潜むことを真剣に考えて欲しい。(四〇〇)