ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

未来のミライ

 シンプルにつまらなかった、というのが最大の感想だ。ものすごくわがままな四歳児が主人公の、ややファンタジー風味がまぶされたホームビデオ。他所のご家庭の育児に興味は持てなかった……。
 本作を観て考えたのは、自分は映画館で何を観たいのだろうか、ということだ。血湧き肉躍るアドベンチャーや誰もが涙するラブロマンス、そうした活劇だけを観たい……わけではない。リアリティ志向の映画だってドキュメンタリー映画だって、観たいときはみたい。ただ、この『未来のミライ』には自分が観たいと感じさせられるものがなかった。皆無だった。(未来の東京駅の造形は素晴らしかったが、あくまでそれは部分だ)
 細田守監督は、この作品を誰に向けてつくったのだろうか。誰に見せたかったのだろうか。この映画を観た人に、どうして欲しかったのだろうか。分からない。未だに分からないし、そこから来るイライラが、観ている間、ずっと付きまとっていた。(四〇〇)