ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

ジーザス・クライスト・スーパースター

 10代前半の頃にテレビで放送していたのを見た記憶があった。しかし、観直してみたら全く内容を憶えていなくてびっくり。
 ジーザス・クライストとは何者か、彼は何を為したかったのか。この2つを問う作品。作中で回答が示されるわけではない。むしろ、こういう問いを持っているのだと示す作品であるというべきか。ともすると深淵&深刻になりがちな宗教的命題を、ロックミュージカルにすることで、シンプルで身近なものに再構成するという試みは素晴らしい(軽薄なものにしているわけではない)。かつ、欧米の人たちも、ジーザスの存在が自明で無謬のものではなく、むしろたくさんの問いかけをしたいと考えていることに、素朴な驚きを持った。併せて、宗教というのは物語の消費から生まれるものだということも、再認識。
 タイトルのスーパースターは、一種の皮肉なんだと思う。少なくとも劇中のジーザスは、スーパースターになれなかった男だったから。(四〇〇字)