ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

レ・ミゼラブル

 母が『ああ無情』を好きだった。しかし、それがどのバージョンの『レ・ミゼラブル』なのか、もはや記憶が定かでない。今回は2012年版のミュージカル映画について。
 大革命後、19世紀のフランス・パリはこんなに貧しかったのか! という印象がエンディングまで続く。一部の登場人物を除いて、身なりはドロドロで髪はぼさぼさ(特にテナルディエの宿屋!)。でも、それだけ貧困が蔓延していたから、国王殺しの市民革命が成立したんだろうな。本作のジャン・バルジャンは超人なので、むしろ助演のジャベール警部やエポニーヌに目がいく。特にエポニーヌ! 両親のテナルディエ夫妻は悪人でクズだし、大好きなマリウスは振り向いてくれない上に鈍感無神経。なのに献身的な愛を尽くす彼女の姿と歌声は美しい。聞いた話だけれど、ジャベールがラストシーンに出てこないのは、自殺をしてしまったからだそうな。彼が救われないことに関しては一抹のもやもや。(四〇〇)