ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

JAGAT

 カンボジア映画の『ダイヤモンド・アイランド』に続き、東京外大の上映イベントで観たマレーシア映画『JAGAT/世界の残酷』。1990年代初頭、マレー半島の貧しいタミル語コミュニティで育つ小学生の少年と彼の父母、そしてギャングになった叔父とジャンキーになった叔父を巡る、お話。
 マレーシアのことを詳しく知っているわけでは無いけれども、貧困と暴力と切実さから生まれる光景は、日本にもかつては(あるいは今も)容易に見られる光景だったのだろうなと、そんなことを考えながら観ていた。全く同じ主題を持った日本映画、探せば簡単に見つかる気がする。いや、アメリカ映画でも同様か。「原付に乗っている奴がつけている時計は高級には見えない」というギャングのボスのセリフと、マイノリティであるはずのタミル系の人たちが移民のバングラデシュ人を迫害するシーンには、共通した哀しみを感じた。弱いものは夕暮れ、さらに弱いものを叩く。(四〇〇)

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