ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

アンチゴーヌ

 新年最初のエントリは観劇から。映画に比べてハードルが高いので敬遠しがちだったけれど、昨年、ただ「黒木華が生で観たい」というだけで行った『お勢登場』が滅法面白くミーハーな欲求も満たされたので、調子に乗って2度目へ。今回のお目当ては主演の蒼井優、そして生瀬勝久だ。
 ギリシャ悲劇をフランスの劇作家(ジャン・アヌイ)が翻案したもの、……を更に日本語訳してアレンジしたのが本作『アンチゴーヌ』。国禁に触れた王女アンチゴーヌ(蒼井優)と彼女を処刑せねばならなくなってしまったクレオン王(生瀬勝久)の、対峙と葛藤を描く物語だった。見所は兎にも角にも主演のふたり。特に蒼井優は、奔放さが熱を帯びることで静かな狂気へ変換される様がとても美しかった。加えて。コロスの一人が謳っていた「悲劇は観衆を裏切らない。何故なら悲劇は悲劇である以上、その悲しい結末を変えることが無いから」というセリフは心に深く突き刺さっている。(四〇〇)

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