ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

君の膵臓が食べたい

 こういう小説がベストセラーになる世界で、本当に良かった。元気が出る。
 難病御涙頂戴系の小説、ではない。まあそんな小説のジャンルがあるのかどうか、知らんけれども。とある男の子が、自分と他人と向き合って生きていくお話。恋愛小説ですら(きっと)ないのだろう。本作の一番好ましいところは、主人公とヒロインの毒舌交じりの掛け合い。これはもう「こういう会話を誰かとしたい!」という会話そのものだ。異性(あるいは想いを寄せる同性を含む)で無くてもいいぐらい、かもしれない。意味なんてまるでない言葉を交わし合い、じゃれ合い、少しだけ傷つけ合い、そして大声で笑い飛ばされたいのだ、誰しもが、きっと。
 ある意味では、とても小さな物語世界である。時間的にも空間的にも関係性的にも。けれどももちろん、物語の世界は無闇に広ければ良いわけでもない。小さな世界の中での、灯火のようなリアリティもきっと、ものすごく大事なことだ。(400字)

 

 

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)