ヨンマルマル

四百字詰原稿用紙一枚分の雑記

カサブランカ

 第二次世界大戦下、モロッコナチスから逃れてアメリカへ渡ろうとする人たちの物語。タイトルと有名な劇中のセリフだけは聞いたことがあったが、完全に初見。お芝居、セリフ、全てがとても時代がかっている。それをわざとらしく不自然に感じる……のはきっと、実際に撮映された時代が現在からはかけ離れた遠い過去だからなのだろう。とはいえ、イングリッド・バーグマンは文句無く美しい。劇中で二人の男を狂わせる美貌として、充分すぎる説得力がある。
 作中で表現されている戦時下の緊張感は、残念ながら自分には伝わりきらなかったように思う。パリ陥落の悲劇性もカサブランカの頽廃も、やはりよくわからんなあ、というのが正直な感想だ。想像の埒外というか。緊張というよりもむしろ、なんだかのんびりしているなあ、という印象の方が先に立ってしまう。面白くなかったわけではない。しかし劇中の空気にシンクロしきれなかったのは、とても残念である。(四〇〇)

 

【追記】
 でもやっぱりフランス国歌合唱のシーンは格好良かった。ベッタベタなのかもしれないけど、純粋に良いなあと思えたシーン。あと、ナチスという言葉は出てきたけれど、鉤十字が出てこなかった気がするのは気のせいだろうか。

 

カサブランカ (字幕版)